2009年10月22日 (木)

「日蓮と法華の名宝」展の図録を手にして

今年は、日蓮聖人が『立正安国論』を幕府に奉呈してから750年の節目を迎えるということで、門下では色々なイベントが開催されている。今は、京都国立博物館で「日蓮と法華の名宝」と題された特別展が開催されている。
ホームページによると、7日間で既に10000名の入場があったということで、かなりの人が来場しているようだ。

もともと、この展覧会には行くつもりでいたのだが、様々な要因が重なって、結局行けそうにもないことがはっきりしてきたので、図録だけ送ってもらった。
図録を見てしまうと、実物も見てみたいという想いになるのだが、とにかく我慢しよう。
この図録、かなりの分量(320頁余)で読み応えもある。図録というと2000円が多いように認識しているが、2500円と少し割高。それでもそれだけ出す価値はあると思う。
「法華文化の展開」「日蓮とその時代」「京都開教と西国への展開」「京都受難の時代」「復興と近世文化の開花」という5部からなる展覧会には、日蓮聖人の曼荼羅本尊もいくつか出展されている。また、『立正安国論』をはじめ、遺文や妙顕寺文書、日蓮聖人像なども出展され、日蓮宗の檀家である本阿弥光悦の作品など、美術品も多く出展されている。

いつも『真蹟集成』で御真蹟は見ているように思っていたが、図録でみた「一代五時鶏図」は圧巻だった。ただ、その冒頭にある題名と花押があまりにリアルで、逆にこれって本当に日蓮聖人が書いたものだろうかと思ってしまったが、どうなのだろう。これに対してどのような見解があるのかは知らないが、どの様にいわれているのか、調べてみたいと思う。
それから、妙法華寺に所蔵されている日蓮聖人画像も出展されている。今では重文となっているこの画像は結構著名で、聖人滅後早くに作成されたと言われている。しかし、これはどうなんだろうか。こんなにクリアな絵を見ると、なんかもっと後にできたものなのではという印象を受けるが、美術学的視点からもう少し詳しい研究がされればと思っている。

なお、横浜の神奈川県立歴史博物館では「鎌倉の日蓮聖人」という特別展も行われている。こちらはお世話になっている先生からご招待をいただいたので、是非とも行こうと思っている。
しかし、『立正安国論』奉呈という節目でこのように大きなイベントをやるのも今までなかったことではなかろうか。この流れはどうしてなのか、大変に興味深い。ただ、こうした展示などが多々あると非常にうれしいことである。
明日は、池上の宗務院で日蓮宗教学大会が行われる。出席しようと思っているので、そろそろ寝て、様々な発表に耳を傾けたいと思う。

「日蓮と法華の名宝」ホームページhttp://www.nichirenshoninten.jp/
「鎌倉の日蓮聖人」案内 http://ch.kanagawa-museum.jp/tenji/toku/toku.html

2008年7月30日 (水)

国宝鑑真和上展に行く

今日、仕事が休みだったので、静岡県立美術館で開催されている「国宝鑑真和上展」に行ってきた。
「鑑真和上坐像」が見られると知っていたので、何とか見てみたいと思い、足を伸ばして行ってきた。

日頃、日蓮教団に関する問題について考えているが、日蓮聖人の御在世は鎌倉時代。それに比すると鑑真和上は奈良時代の人だから、さかのぼること5世紀。その差は大きい。出品されているものの多くが、奈良時代とか平安時代のものであり、その歴史の古さだけで圧巻だった。江戸時代のものが出展されていたが、「律三祖像」などは、あまりにも新しくみえて、随分浮いちゃっているような感覚さえ抱いた。
さらには、配布されていた出品目録をみても、2/3程度が国宝や重文に指定されたものである。行くベースごとに重文やら国宝やらが並べられているわけだから、そのすごさだけで「もうおなかいっぱい」という思いだった。

唐招提寺の重宝がこうして見られるのは、唐招提寺の修理に合わせてということのようで、重宝が始めて外に出るということに対して、寺内では賛否の議論がなされたと、知人から聞いた。

今回、静岡でやっている「鑑真和上展」を知ったのだが、美術館の人に聞いてみると、どうもかなり長い期間、全国で展示会が行われたということで、それは知らなかった。
帰ってきてネットで調べてみたら、2001年から続いていたようだ。東京が2001年で今から7年前。となれば、まだこうしたものに興味を持っていなかったから、納得できたが、まさか3年前にもやっていたとは知らなかった。もう少し敏感でいたいなと思った。まあ、今回見れたから、これはよしということにしたい…。

【2001東京・長野、2002愛知、2003愛媛・鹿児島、2004宮城、2005東京、2006北海道】8月末まで静岡で開催されたあと、来年福岡で行われて終わりになるとのこと。
東京では混雑してなかなかゆっくりと見ることができなかったそうだが、静岡での開催は、かなりゆっくりと見れ、特に見たかった「鑑真和上坐像」は10分ぐらい、前後左右、色々な角度から見ることができた。
終わりごろになるときっと混むのだろうから、今日いってきてよかったと思う。
ただ、鑑真和上坐像の写真を見ると、随分色彩がはっきりとしているようだが、美術館ではかなり電気の明るさを落としていたので、ほとんどその色彩を感じることはできなかった。宝物管理という上からの措置なのだろうか、残念ではあるものも、致し方ないのだろう。

あと、一つ思ったのは、重文判定についてなのだが、並列されていた「大雲経」と「大日経」があって、双方ともその古さといい、その保存状況といい、申し分ないように思われた。なおかつ、前者は奈良時代のもので、後者は平安時代のものという。なのに、後者は重文に指定されているが、前者は指定を受けていない。この差異は何なのかと疑問に思った。そういう知識もあれば、もっと面白く見られるのかもしれないが、そこまでの理解はなかなかできない。

いずれにせよ、こうしたなかなか近くで見られないようなものを間近で見る機会が得られたことに、本当に充実した休日を送れたと思っている。また、ゆっくりとハードカバーでできた立派な図録を読んで、余韻を楽しみたいと思っている。

【唐招提寺2010プロジェクト】
http://www.tbs.co.jp/p-guide/daiji/index-j.html

【静岡県立美術館】
http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/japanese/exhibition/kikaku/2008/02.php

【唐招提寺】
http://www.toshodaiji.jp/

2008年4月24日 (木)

国立歴史民族博物館と「天璋院篤姫展」に行く

長い間私用でブログの書き込みができなかった。
この間、余り学問的な内容を書けるようなことはしていないが、仕事の合間を縫って二つの博物館に行ってきたので、今日はその感想を書こうと思う。

一つは、江戸東京博物館で行われていた「天璋院篤姫展」だ。毎年歳末になると、次の大河ドラマは必ず見るぞと思うのだが、結局今年の「篤姫」は見ていない。私はどうも幕末あたりの歴史がいまいちよくわからないので、是非とも見て知っておきたかったのだが…。ただ、たまたまネットを見ていたら、江戸東京博物館にて篤姫展をやっているとの情報を得たので、見ておきたいなと思っていた。そうしたら、偶然仕事で近くに行く機会に恵まれたので、無い時間を割いて見に行った次第。
江戸東京博物館は、横を走る首都高6号線をよく使用していたこともあって、近くに立つアサヒビールの建物とともに、変わった建物だなと、いつも横目に通過していたのだが、今回は、初めてその中に入ることとなった。
ただ、もう終わりに近かったからなのか、大変混雑していて、大河ドラマの人気振りが知られただけで、人を見たという印象はあっても、展示品をしっかり見たというイメージがないことが、まことに残念である。
東博や京博などの国立と違って、展示のスペースだとか展示品だとか、そういう充実さがないのではと思っていたが、実に沢山の展示物があり、その展示物も贅沢なほどゆったりと展示している印象をうけた。もうすこしゆっくりと、欲を言えば人が余り入っていないときに見てきたかったが、致し方がない。購入してきた図録で、これからゆっくりと見ていきたいと思っている。

もう一つは、千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館に行ってきた。
一度行ってみたいと思っていたのだが、たまたま用事と重なって行く機会に恵まれた。
ここでは常設展を見てきた。時代ごとに、第一から第五まで展示室が分かれていて、そのときにタイムスリップしたような、とにかく贅沢なスペースに多くのジオラマや展示物がこれでもかというように展示されていたことは圧巻であった。開館時間から数時間、結構時間かけてみてきたが、まだまだ見足りないというほどの展示内容であった。また、第三展示室が丁度この3月からリニューアルオープンをしたということで、きれいさとともに充実した展示内容が楽しさを増してくれた。ただ、既にここに来るまでに時間が費やされてしまっていたので、例えば寺子屋のコーナーではご年配の方が色々とお教えくださっていたようで、自分もそのお話を聞きたかったが、時間が押してしまっていたので断念せざるを得ない状況であった。といいながらも、あれだけの分量がありながら、中世期の展示はボリュームが他と比べて淋しいような感じを受けた。自分が中世に興味を持っていることからかもしれないが、それでももう少し中世を充実して欲しいかなと思った。
もう一つ驚いたこと。それは、すべて見終わって「あぁ、もうこれでいいや」と思っていたところ、入場券を購入する受付の反対側に、なんと全国の博物館で発行された図録が置いてあった。私は、今までネットなどで一生懸命様々な博物館の図録を探しては購入してきたので、ここにくれば欲しいものが、それも手にとって見て、購入の要否を判断できる。全国から来た図録の分量も半端じゃないし、驚いて見入ってしまった。結局、2冊の図録を購入してきたが、なんだか近隣に住む人がうらやましいなと思いながら帰ってきた。

「民営化」は現在の政治改革の一つのキーワードとなっているが、私も民営化されれば様々な面でプラスに働くことがあろうとは思っている。ただ、郵便局は反対であった。結局、民営化されることでかなり使い勝手が悪くなってきたと感じるのは私だけではないはずである。しかし、民営化の是非を問う選挙において、国民が民営化すべきと判断したから、今そうなってしまった。もう一つ、私が民営化してはいけないのではと思うのが、学問的なことに関する件だ。佐倉の歴史民族博があのように贅沢なスペースで、贅沢な展示物を設けることができるのも、やはり国営・公営だからできるのではないかと感じている。
あれだけの展示物があって、入場料も420円(高校・大学生250円、中学生以下無料)という安価で見れるのも、やはり国立ならではのことだと思う。もし、こうしたことまで民営化などという議論が押し寄せてきたら、本当につまらないなと、あのスケールに圧巻としてそんな思いを抱きつつ、帰途に着いた。

国立歴史民俗博物館ホームページ http://www.rekihaku.ac.jp

2007年8月15日 (水)

市立市川歴史博物館に行く

 昨日は公用で千葉県に行った。千葉は日蓮聖人に有縁の地で、様々な霊跡が存在する。特に房総方面は、出生の地(誕生寺)や出家のところ(清澄寺)、松原法難関連地(鏡忍寺)などなど。今回は東葛・北総と呼ばれる地域への用事だったが、この付近も、富木常忍ら有力檀越が居住する地域だったので、中山法華経寺や真間弘法寺、朗門の小金本土寺など多くの寺院がある。そういう寺院に行くべきだったのかもしれない。ただ、今回は用事を終えてふとどこか寄ろうと考えが浮かび、そのときには中山法華経寺とは少し違う方向に向かっていたし、早く帰らなければならないこともあって、寺院は後日ゆっくり時間を作ってこようと思い、今回は市川歴史博物館にいくことにした。

 ここの博物館の存在は、最近まではしらなかったのだが、たまたま広告で知った書籍、湯浅治久氏の著書『中世東国の地域社会史』(二〇〇五年、岩田書院刊)を購入し、著者がこの博物館の学芸員だと知ったことで覚えていた。
 用事を済ませてからこの博物館に行くまでの距離は遠いというほどではなく、また車で結構な田舎道を走ったものだから、あまり渋滞というものにも巻き込まれることなく、すんなり現地に到着することができた。

 早速入る。博物館の殆どが有料である中で、この博物館は無料であることがありがたい。かなり古い感じがしたが、隣には考古博物館まで持ち、市立であれだけの規模の博物館を2館続けて持っているところに、同市の歴史に対する意欲を感じた。
 日蓮関係のことは、やはり中山のことが触れられていた。あとは、板碑が多く存在したようで、特に市川市では阿弥陀と題目板碑以外は現在のところ確認されていないとの記述を目にした。また、「国府台合戦」との戦国の世の争いのところから、割れた板碑が出土したようで、それが題目板碑であったことも結構興味をそそった。弘法寺には古墳が存在したようで、そうした事実も知らなかったので、少々驚いた。
 コーナーとしては、「中世以降の市川」「海辺の人々の生活」「水路と陸路」「台地の人々の生活」「郷土情報コーナー」がある。日蓮関係以外で面白かったのは、以前の民家の様子が再現されていることで、そのレトロさに、しばし時間を忘れて見入ってしまった。

 やはり、時折博物館などに行って、頭の中をタイムスリップさせてみたり、色々な歴史の情景を垣間見ることはよいことだと思う。また、美術館に行って一日かけて絵や彫刻などを鑑賞するということもよいだろう。残念ながら、私にはなかなかそういった時間を作ることができないが、こうした何かの合間にでも多少の時間ができたのなら、それを利用してさまざまなものを見てくることは、自分にとっては大変にプラスになるなと思った。
 この博物館、私が入ったときは、どうも一人も居なかったようだが、見ているうちに、夏休みということもあるのだろうか、何家族ものグループが入館してきて、子供たちがたくさんいたことには、非常に好感を持てた。無料というところにも、気楽に入れるというのがあるのだろう。ただ、欲を言えば、簡単なパンフぐらいは置いておいてほしいなと思った。パンフ代として、入館料50円くらいとってでも、私はパンフは置いてほしいなと思う。

 時間を気にする中で、強行突破で博物館に行ったかいはあった。また、こういう機会ができたら、博物館とか美術館に足を運ぼうと思っている。そういえば、近隣の博物館へはまだ行っていないので、近いうちに時間を見つけて行こうと思う。

市立市川歴史博物館
千葉県市川市堀の内2-27-1
047-373-6351
http://www.city.ichikawa.chiba.jp/net/kyouiku/rekisi/rekihaku/index.htm

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